木本桂春

7月19日、空を見ると空の青さに力がありそうです。計画していた駒ノ鞍へ行くことにした。この山は乗鞍岳から岐阜県側に伸びる長大な千町尾根上にあり、下から登るか、上から下って登るか、その場合の下山をどうするか、自分の体力、気力と相談した結果、乗鞍岳を越え駒ノ鞍に達し往復することにした。

午後に家を出て、スカイラインの最終バスで肩の小屋入り。


小屋から夕暮れの乗鞍岳
 
午前2時、暗闇の道を頂上へ、千町尾根の下り口が岩場でうまく降りることが出来ず、ヘッドランプをたよりにゆっくりとヤット降りる。4時少し明るくなる。5時15分、ふり返ると頂上の右手から陽が射してくれた。


日の出


左前方に御岳、前方の雲海上に影乗鞍が浮かぶ。元気が出てくる。


緩やかな尾根を下り続ける、右手に笠ヶ岳が見えてきた。黒部五郎岳もその左に見える。


這松帯の中の道を行く吾の影。

尾根は2500m付近から下り始める。笹と雑木の藪に突入。1時間も歩いたであろうか、木道があらわれ、しばらくすると奥千町避難小屋が湿原の中にあらわれた。


奥千町避難小屋

小屋からオオシラビソの樹林の中を下ると、鞍部に湿原があらわれ、その水面に乗鞍岳の山容が浮かんでいた。


逆さ乗鞍岳

ここから駒ノ鞍の山頂へ登る。山道は頂上を通っていないので、高みを目指して、登った。

道なきルート

何の展望も得られなかったが、満足だった。陽はすでに頭上にあった。ここから標高700m距離6kmの登山にかかる。しかし、登る道中にはすぐそばに高山の花々、先人が信仰のために上げた石仏の多くと出会える。それも誰もいない吾の一人占めがいい。


ニッコウキスゲ


馬頭観音が静かに見ていてくれた。千町から大日岳まで88体の石仏が担ぎ上げられ、高山植物の中で見守ってくれた。


チングルマイワカガミ。その他沢山。


乗鞍岳の直下。岩陰に咲く、駒草

11時間、人ひとりも見ることなく、頂上に戻った。
午後の陽は時々流れてくる霧が涼やかで、老体を守ってくれた。
老残には試練の山であったが嬉しかった。


乗鞍岳頂上の夏の雲と空


眼下の権現池の水のあおさよ。

雨の間隙をぬっての登山。しかし、この後再び雨が降り出す。7月最後の週末も小雨が降っている。