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『駒ヶ岳30座ハンドブック』発刊! あとがきより(2) [会員連絡]

あとがきより。

 寺田寅彦のエッセイ「地図をながめて」の一節に「地図を読む事を知らない人にはせっかくのこの地形図も反古同様でなければ何かの包み紙になるくらいである。(中略)しかし「地図の言葉」に習熟した人にとっては、一枚の図葉は実にありとあらゆる有用な知識の宝庫であり、もっとも忠実な助言者であり相談相手である。(中略)等高線ただ一本の曲折だけでもそれを筆に尽くすことはほとんど不可能であろう。それが「地図の言葉」で読めばただ一目で土地の高低起伏、斜面の緩急等が明白な心像となって出現するのみならず、大小道路の連絡、山の木立ちの模様、耕地の分布や種類の概念までも得られる。自分は汽車旅行をするときはいつでも二十万分一と五万分一との沿線地図を用意して行く。遠方の山などは二十万分一でことごとく名前がわかり、付近の地形は五万分一と車窓を流れる透視図と見比べてかなりに正確で詳細な心像が得られる。しかしもし地形図なしで、これだけの概念を得ようとしたら、おそらく一生を放浪の旅に消耗しなければなるまい。」とある。『駒ヶ岳30 座ハンドブック』はこれまで知り得た知見や歴史を簡単に紹介すると同時に大小二通りの縮尺の地形図を掲載した。これらの地形図がこのような役割を果たす道具となることを期待している。
 同時に我ら、駒ヶ岳を愛し、「駒」に関する様々な情報を貪欲に求める仲間たちの羅針盤として、さらに新たな知見を得る旅の伴侶として、本書を利用していただければ本望である。   
(平井英明)

平井表彰.jpg
望年会で登山表彰「こまどり賞」を受ける平井さん
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